こんにちは。ブログ管理者のほそべーです。
新しく張ったガット、せっかくなら、できるだけ長く、いい状態で保たせたいと思いませんか?
丁寧にガット張りを行わなければ、ガットが張りたてでも、緩むのが早くなったりしてしまいます。
今回は、大型スポーツ店にガット張りをお願いしたガットと、ほそべーが張ったガットを見比べてみます。
この記事を読むと、ガット張りのこんな所を注意してみると、品質の良いガット張りを行っているかが分かるようになります。
自身に合った、ストリンガーを見つけるためにも、ぜひ、ご覧ください。
それでは、どうぞ。
ガットの張り上がり時に見てほしい所
まずは、ガット全体の状態を見てみましょう。
例に、コチラは、大型スポーツ店でガット張りをお願いし、1回テニスをした後の状態です。
残念ながら、今回のガット張りは、丁寧に張られなかったと言えます。
なんとなくで構いませんが、縦のガットと横のガットが中心に向かって集まっているような気がしませんか?
中心に向かって見えなくても、縦のガットも横のガットもまっすぐ張られていないのが分かりますね。
更に、拡大写真です。
縦のガットと、横のガットが交わってできる、四角形をよく見ていただきたいのですが、場所によって、全然違う大きさになっていることが分かると思います。
分かりやすい様に、黄色い枠で囲ってみましたが、黄色い枠以外も、全体をよく見ても四角形の大きさは、均一ではないですよね。
まずは、張り上がった時にガット全体を見てみてください。
縦横のガットが均一にまっすぐ張られているか、確認しましょう。
この時点で、均一でなければ、ガット張りの品質が低いと言えます。
ガット張り後がきれいな状態でも、1度テニスしてみたり、何度かボールをついてみて、その後の、ガットの動き方にも注目してみてください。
上の画像のように、すぐにガットがズレてしっていたら、これも、ガット張りの品質が低いことが考えられます。
そして、上記のような状態だと、ガットが緩みやすい状態。
ということを、覚えておいてください。
せっかく、お金を出してガットを張ったのに、すぐに緩んでしまっては、とても悲しいことですよね。
どうして、ガットが均一でなくなるの?
では、なぜ、ガットが均一ではなく、まっすぐ張られないかを解説していきます。
今回は45ポンドの設定で張っていきます。
ガット張りは、通常、縦のガットから張り、次に横のガットを張っていきます。
その場合の、横のガットの張り方に問題があります。
では、実際に張っていって比較してみましょう。
今回は、比較しやすいように、上の画像と同じラケットに、ガット張りを施していきます。
これは、横のガットを張っている最中の画像です。
この画像のように、横のガットは、縦のガットを上、下、上、下、上、下、、、、、、と機織りの様に通していきます。
次の画像のように、ガットを矢印方向に引っ張っていきますが、結論から言うと、四角部分と丸部分ではかかるテンションが全く違います。
これは、左方向へ引っ張っていきますが、引っ張るまでに、縦のガットを通る程、縦のガットの摩擦によって、引っ張りづらくなってしまうのです。(説明が難しいので、画像にお絵描きしてみました。)
実際に測っていないので、正確な数値はわかりませんが、丸部分は指定したポンド数に近く、四角部分は指定したポンド数より緩くなります。
四角部分から、機械で引っ張るまでに、数本の縦ガットを通るため、縦ガットの摩擦力が強く、何もしないと、横のガットを均一のテンションで張ることが出来ません。
では、このまま、張り上げるとどうなるでしょう?
この様に、左から2番目のガットが少し曲線になっていますね。3番目のガットと比較すると分かりやすいです。
全体を45ポンドで引っ張り切ることが出来なく、中途半端にしかテンションをかけられなかった証拠です。
※一番左のガットは、まだテンションをかけていません。
では、どうすればよいのでしょうか???
ここで、ストリンガーがどれだけ丁寧にガット張りを行うかが出てきます。
横のガットを引っ張った際に2手間(正確に言うと、手作業を1手間、機械の設定を1手間)加えることで、解消することが出来ます。
- 横のガットを均す(手作業)
- 45ポンドで引っ張り続ける(機械の設定)
この、2手間を横のガットを1本1本、引っ張る度に行なっていきます。
まず、横のガットを均す。1手間ですが、この画像のようにやります。
横のガットが引っ張られている間、引っ張られているガットをギシギシと動かしてあげるのです。
(画像は、ナイロンガットで柔らかいため、手でやっていますが、ポリガットのように固いと工具を使います。)
こうすることで、横のガットの引っ張るテンションが均一になります。
しかし、この1手間だけでは、横のガットが均一のテンションで張られるだけで、45ポンドで張ったことにはなりません。
何故かと言うと、ガット張りの機械は、引っ張り始めて45ポンドに到達するとその時点で、1度止まります。
つまり、先述の丸部分に45ポンドの力がかかった時点で、機械は、引っ張ることをやめてしまうのです。
先程の、画像をもう一度見てみましょう。
丸部分に45ポンドのテンションが掛かった時点で、機械は止まるのですから、当然、四角部分は45ポンドになっていません。
ここで、先程のように、手(または工具)で横のガットを均すとどうなるか。
四角部分が低いテンションのままですので、平均を取り、全体的に45ポンドよりも緩い数値になってしまうということです。
これは、機械の設定や、機械の性能に大きく左右されます。
「45ポンドで設定したら45ポンドで引っ張り続ける機能」
が必要になります。
文鎮式のガット張り機やしっかりとしたガット張り機では設定可能です。
※高グレードのガット張り機には、概ね付いている機能ですが、低価格帯のガット張り機には付いていないものもありますので、要注意です。
バネ式のガット張り機では調節が難しく、比較的緩みやすいので、ストリンガーさんがどんなタイプの張り機を使用しているかも確認してみると良いかもしれませんね。
※テニスショップでは文鎮式やバネ式のガット張り機を見ることはなくなりましたが、ホームストリンガーの方で昔ながらの張り機を使用していることも少なくありません。
そして、この、「引っ張り続ける機能」でガットを引き続け、手(または工具)でガットを均すことで、、、
左から2番目のガットを見てみましょう。
先程は、少し曲線になっていたのに、ガットがまっすぐになったことがお分かりになるかと思います。
これを、横のガットを引っ張る度に繰り返します。
この手間が、丁寧なガット張りとなり、緩みを少なくするに直結します。
(著者は大体、手で均しますが、10本くらい連続で太ゲージのポリガットのご注文を頂くと、正直、指先がボロボロになります。笑)
ガットの均しを行わないとどうなる?
ガットの均しを行わないと、どうなるか?ですが、考えてみましょう。
ガットの均しを行わなければ、ラケットの面上で、ガットのテンションが違う箇所が所々に出来るわけです。
そのガットでテニスをすると、ガットは、全体が同じテンションのかかり方になるように自動的に、段々と動き始めます。
すると、、、先程の写真です。
テニスが終わった時には、この様にガットがズレにズレ、全体のテンションは、お願いしたテンションよりも随分、低くなってしまいます。
これが、ここで言う、ガットの緩みとなります。
張り上げました!
張り上がりました!
いかがでしょうか?
縦と横のガットが、ほぼ真っすぐになっているのが分かると思います。
テニスしてみた!
更に、このガットで何度かラリーをしてみました。
その結果が、コチラです。
若干、スイートスポットの辺りにガットのズレがありますが、ほぼ、張り上がりと同じ状態ですよね!
これが、丁寧で緩みの少ないガット張りです!!
もちろん、このガットで何度も何度もテニスをすると、ガットの寿命が来ますので、ズレてはきます。
ですが、ガットがズレ始めるタイミングは、丁寧にガット張りを行った場合と、そうでない場合で明らかに大きく変わります。
そうであれば、丁寧にガット張りを行ってくれる、ストリンガーにいつもお願いしたくありませんか?
最後に
いかがでしたでしょうか。
今回は、大型スポーツ店にお願いした、ガット張りがあまりに良くなかったので、この記事を書いてみました、
電動のガット張り機が普及した今、誰でも、手順さえ覚えれば、ガットが張れる時代になってしまいました。
逆を言うと、丁寧に張らなくても、ガットは張れてしまう、形だけで張れたように見えてしまうということです。
一般のテニスプレーヤーであれば、1年に何度かのガット張りの機会です。
その機会に、
「今回は、ガットを変えてみよう!」
「この選手のガットを真似てみたい!」
「腕が少し痛むから、もっと衝撃の少ないガットにしたい!」
などなど、お考えになる方もたくさんいらっしゃるかと思います。
その、多いとは言えない機会に、残念な緩みやすいガット張りを受けていただきたくないのです。
しっかりとしたガット張りを施してもらったラケットで、緩むことが少ないガットで楽しいテニスをしましょう!